晴耕雨読

霞を食べて生きる

研究発表・プレゼンテーションべからず集

はじめに

お久しぶりです.数か月間当ブログを放置していましたが,そろそろ書かなきゃいけないなと思っていたので義務で書いていきます.

大学院生活で,所属の研究グループで行われる進捗報告会や,他大学の先生や企業の方の講演,他大学の学生の発表などを多く見てきました. 中には「これはいいね」と思うような発表もあれば「これはマズいんじゃ」と思うような発表もあり,そろそろ目が肥えてきた頃だと思います(ほんまか?).

また,自身の登壇や原稿執筆で身に付けた話すスキル・書くスキルを何か形にしたいとも思っていたので, 「研究発表・プレゼンテーションべからず集」として個人的に研究発表・プレゼンテーションで推奨しない事柄をまとめていきます.

本記事の対象

  • これから研究発表・プレゼンテーションなどで登壇する人
  • 後で見返したい自分

言い訳 予防線 おことわり

本記事の内容は,筆者の専攻である電気電子工学の分野の流儀に準拠しており,また個人的な好みが多分に含まれています

大目に見てください.

べからず集

以下,書きやすさのために常体で書く.

本べからず集では,各項目を筆者のキレ度🤬で評価する.キレ度🤬は5段階であり,おおよその目安は以下の通りである.

  • キレ度1🤬
    • あら?
    • 正直あんまり気にしてない
    • 各人の好み次第
  • キレ度2🤬🤬
    • まぁまぁ...
    • ちょっと気になるけれど別に問題はない
    • 治せば発表の質が上がってグッド
  • キレ度3🤬🤬🤬
    • ふーん...
    • このあたりから聴講者の理解の妨げになってくる
    • 締め切りが差し迫ってない限り治すべき
  • キレ度4🤬🤬🤬🤬
    • むっ
    • 著しく聴講者の理解を妨げる
    • これを放置して発表するのはまずい
  • キレ度5🤬🤬🤬🤬🤬
    • かっちーん!!!
    • 存在自体が害悪
    • 直ちにやめるべき

では,べからず集を書いていく.大きく,スライド構成篇と登壇中篇に分けているが,これらは無関係ではなく相互に影響しあうものなので,便宜的で適当な分け方ということに留意されたい.

スライド構成篇

スライドのページ番号は右下に書くべからず

  • キレ度2🤬🤬

右下に小さく薄い文字でページ番号を表示している発表スライドが散見されるが,見づらい(見えない)ので意味がないし, スライド作成時にも図表と位置が干渉して邪魔になる.スライドの右上に大きく表示するべきだ.

また,ページ番号の表示は「現在ページ/全ページ数」とすると良い.(こいつの発表いつ終わんねん...)という不安を聴講者に抱かせずに済む. ゴール地点がわかっていると,そこから逆算して集中力のペース配分が出来るので,こういう心遣いはとても聴講者フレンドリー.

スライドに長々と文章を書くべからず

  • キレ度4🤬🤬🤬🤬

原稿執筆のノリで発表スライドを作成すると,得てして長々と文章が書かれたスライドが出来てしまう.

スライドは原稿用紙ではないので,箇条書きや図表を駆使して効果的に発表すべし.文字だけのスライドはご法度. また,体言止めを使うことを意識すれば,長々と文章を書くクセを抑えられる.

「ご清聴ありがとうございましたスライド」を作るべからず

  • キレ度5🤬🤬🤬🤬🤬

不要.限られた時間で情報を可能な限り伝えなけらばならないプレゼンテーションにおいて,内容のないスライドは不必要

発表終了後には質疑応答が行われるのが常だが,質疑応答中に「ご清聴ありがとうございましたスライド」を表示していても無駄である. 質疑応答中は発表のまとめスライドを見せて,質問者が質問しやすいようにすべし.

色の数を徒に増やすべからず

  • キレ度3🤬🤬🤬

とっちらかった配色は得てして見づらく,理解の妨げとなる. 用いる色は,

  • 通常の文字で使う黒色
  • 強調したい箇所などで用いるメインカラー
  • メインカラーと対比的に用いたりさらに強調したいときに用いるアクセントカラー

の3色くらいが無難だと思う.

また用途も例えば

  • グッドポイント・メリット・利点などはメインカラーの青
  • 対比的に,バッドポイント・デメリット・欠点などはアクセントカラーの赤

といったように意味を限定して使うべし.青と赤は逆の流儀の人もいる.どちらがマジョリティかは知らない.

ハイコントラストな配色にするべからず   

  • キレ度1🤬

ハイコントラストなスライドは目が疲れるのでコントラストを下げるべし.くすんだ色を用いると目に優しい.

  • 文字の色は真っ黒#000000ではなくこれくらいの黒色#444444(ブログ上では違いが分かりにくい)
  • 背景の色は真っ白#FFFFFFではなくこれくらいの白色#BBBBBB(ブログ上では見づらい)
  • メインカラーの青色は#0000FFではなくこれくらいの青色#204066
  • アクセントカラーの赤色は#FF0000ではなくこれくらいの赤色#801E1E

がいいと思う.

ただし,これはプロジェクターで投影するか液晶で表示するか, 会場の照明の色,個々人の色覚など, 非常に多数の要素に左右されるので,気にしすぎるのもよくないと思う.

日本語フォントのアルファベットを使うべからず

  • キレ度1🤬

游ゴシックなどの美しい日本語フォントですら,ビルトインしているアルファベットは微妙にダサい.英語にきちんと向き合っている欧文フォントを使うべし.

Windowsにデフォルトで入っている素晴らしい欧文フォントにSegoe UI がある.

日本語フォントのギリシャ文字を使うべからず

  • キレ度3🤬🤬🤬

例えばアルファとかオメガとか入力してからギリシャ文字に変換できるが,アルファベット同様ダサいし,環境によっては文字化けが起きる可能性がある

Windowsに標準搭載されているギリシャ文字専用フォントのSymbolを使うべし.

図表で細い線を使うべからず

  • キレ度4🤬🤬🤬🤬

グラフの軸やプロットデータが細かったり,表のグリッド線が細いと見づらい(見えない). 図表は研究発表の最も重要な部分であり,この部分が見づらい(見えない)と伝わるものも伝わらないので,大きく太く作図すべし.

登壇中篇

「○○させて頂きます」と言うべからず

  • キレ度1🤬

「○○いたします」「○○します」と言おう. 「させて頂きます」は目上の人に許可をもらって何かを実行するときに使うべし.

主催者やその他関係者のおかげで自分は発表できているという信念・思想のもと, 「発表させていただきます」と言っているならいいと思う. でも,そこまで考えて「発表させていただきます」と言っている人はいないんじゃないか? 日常会話の話し言葉ならまだしも,研究発表の一言一句には敏感になり,言葉を大切に使うべきだ.

スライドを読み上げるだけの発表をするべからず

  • キレ度3🤬🤬🤬

書いてあることを読むだけなら,聴講者各々がスライドを見れば済む話である. スライドには重要な図表や説明のみを表示し,口頭でそれらの行間を補完するように発表すべし.

「続いて○○についてお話します」と言うべからず

  • キレ度3🤬🤬🤬

スライドのページをめくって「続いて○○についてお話します」,またページをめくって「次は▽▽についてお話します」,またページをめくって「お次に□□についてお話します」...

というように,スライドごとに話がブツ切りになっていると,スライドごとの関係やつながりが見えてこない.一つのストーリーを作るように,前のスライドのおしりと次のスライドの頭がつながるように構成するべし.

登壇者はフラフラするべからず

  • キレ度2🤬🤬

発表内容に集中したいのに視界の端で登壇者がフラフラ動いていると気になるし,自信なさげで頼りない印象を受けてしまう.

せっかくの素晴らしい内容も(この発表たいしたことないんじゃね?)と,その素晴らしさが伝わりにくくなってしまうので,背筋を伸ばしてどっしりと構えることを意識すべきだろう.

登壇者はボソボソ喋るべからず

  • キレ度4🤬🤬🤬🤬

ボソボソ喋ってるとそもそもの内容が聞き取れないので,もっとお腹から声をだすべし. また,マイクを過信するべからず.マイクは適切な距離・適切な声量でないと正しく拡声してくれない.

登壇する前に喉を慣らしておいたり,登壇直後にマイクテストをするのが肝要である.

レーザーポインターを不必要に振り回すべからず

  • キレ度5🤬🤬🤬🤬🤬

注目点を指し示すためにレーザーポインターは頻繁に用いられるが, そもそも注目を集めたいなら,矢印で指し示したり丸で囲んだり資料の側を工夫するべきである. 不必要にレーザーポインターを振り回すのは端的に見づらいので,レーザーポインターは限定的に扱うのが良いだろう.

これだけならキレ度3🤬🤬🤬査定くらいであるが,人の目に入ると危険なのでキレ度5🤬🤬🤬🤬🤬査定. 直ちにやめるべきだと思う.

どうしても使いたいならPowerPointなどのプレゼンテーションソフトに組み込まれているソフトのレーザーポインターを利用するべし.

おわりに

本記事では,筆者がスライド作成や発表登壇中に意識していることを思いつく限り書きました.また思いついた内容があったり,あたらしい気づきがあった場合は適宜修正していきたいです.数年後に見返したときに黒歴史となっていないか心配です.

再度予防線を張っておきますが断っておきますが,これは筆者の専攻である電気電子工学の分野の流儀や筆者個人の好みが多分に含まれているため,鵜呑みにしないでほしいです.

次は最近読んだ本の感想とかを記事にしていけたら楽しいかなと思っています.